毎年7月、沼津市では、沼津夏祭り・花火大会の前夜、狩野川では「狩野川灯ろう流し」が行われます。
ライトアップされた御成橋(おなり橋)を背景に、祈りを込めた灯ろうが川面を静かに流れていく光景は、沼津の夏を象徴する風景の一つです。川面にゆらゆらと揺れる無数の光は、どこか懐かしく、あたたかな気持ちにさせてくれます。
狩野川灯ろう流しは、1958年の狩野川台風で犠牲となった方々への慰霊と鎮魂の想いから始まりました。翌年から続くこの行事は、亡き人を偲び、命の尊さを見つめ、人と人とのつながりを感じる大切な地域行事として、長く受け継がれています。

開催概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会場 | 狩野川河川敷(あゆみ橋 ~ 御成橋)沼津リバーサイドホテルの対岸 |
| 開催日 | 毎年7月 沼津夏まつり前日の金曜日 |
| 時間 | 18:00 ~ 19:30 |
| 受付方法 | 直接会場へお越しください |
| 駐車場 | 駐車場は無いのでご注意ください |
| 事前受付 | 当日会場に来られない場合は、沼津市役所・社会福祉協議会にて実施していますヨ |
| 用意するもの | 供養される方の「戒名」または「お名前(俗名)」のメモ ※一基で複数を供養する場合は「〇〇家先祖代々」と記名されます |
| お問い合わせ | 沼津夏まつり実行委員会 灯ろう流し部会(沼津市福祉企画課) ☎ 055-934-4824 |


狩野川に流れる、それぞれの想い
狩野川灯ろう流しでは、参加される皆さんが、それぞれの想いを灯ろうに託します。
参加者の皆さんの灯ろうを組み立てるお手伝いをしながら、私自身も家族や友人のことを思い浮かべていました。灯ろう流しは、誰かを偲ぶための行事であると同時に、普段はなかなか言葉にしない感謝や気遣いを、あらためて考える時間にもなるのだと感じます。
会場には、ご家族そろって来られる方、お孫さんを連れて参加される方もいらっしゃいました。「参加は何回目?」「おばちゃんは三回目で、私は二回目だよ」と教えてくれました。浴衣を着たメキシコ籍の方やタイの方の姿もあり、国籍や世代を越えて、多くの方がそれぞれの想いを灯ろうに込めていました。
あるご婦人と対話したとき、「私はこうやって一生懸命に家族を想って供養するけれど、私のときにはやってくれる人はもういないのよ」と、少し寂しそうに、でも優しく微笑みながらお話ししてくださったのがとても印象に残っています。誰かを想う心の尊さと、それを繋いでいくことの切実さを、改めて肌で感じた瞬間でした。
宗派を越えて行われる合同供養「川施餓鬼」
会場では、さまざまな宗派の僧侶が一堂に会する合同供養「川施餓鬼(かわせがき)」が行われます。
僧侶が灯ろうに丁寧に戒名を書き入れ、御詠歌が響く中で祈りを捧げる。宗派を越えて共に祈るこの光景は、全国的にも珍しく、地域の皆さまが長年大切に育んできた宝物ですよね。
沼津青年会議所が携わってきた歩み
沼津青年会議所(沼津JC)は、1985年からこの運営に携わっています。灯ろうの準備から会場設営、案内、片付けまで、多くの役割を担います。
行政、仏教会の皆様、社会福祉協議会、高校生ボランティアなど、多様な立場の方々と協力し合うこの時間は、世代を超えて地域への想いを受け継ぐ大切な機会になっています。

世代を越えて受け継がれる想い
本光寺の木村先輩は、灯ろう流しを「亡き人を偲び、命のつながりを再確認する大切な時間」と表現されています。また、皆で守っていくことに意義があるとも話されています。
梅島先輩からは、「時を経てもOBと現役が共に集える貴重な事業」とのお話がありました。
長年にわたり関わってきた長澤先輩からは、当時を振り返りながら、「1年だけ」と考えていたことが、次の世代へと続いていったというエピソードも伺いました。
こうした言葉からも、狩野川灯ろう流しが単なる一つの行事ではなく、地域の歴史や人々のつながりを受け継ぐ場であることが伝わってきます。

自分たちの手で、次世代に誇れる沼津を
一日の終わり、片付けを終えて仲間たちと囲む時間は、何にも代えがたいものです。
心地よい疲れの中で交わす「お疲れ様」の言葉、そして最後は「トレーニング!サービス!フレンドシップ!」でJC乾杯。
(翌日の花火が雨で中止になってしまったのも、今となっては忘れられない夏の思い出の一つです)
地域は誰かが作ってくれるものではなく、自分たちの手で汗をかき、知恵を絞って、一歩ずつ形にしていくもの。
この「狩野川灯ろう流し」のような伝統を大切に繋いでいくことも、その積み重ねなのだと感じています。
私たちの子供や孫の世代が、この街に生まれ、育ったことを心から誇れるように。
「沼津って、本当にいい街だね」と胸を張って言える未来を、これからも自らの手で作っていきたいものです。
こうした想いを共にする仲間が地域に増えていくといいですね。
また、来年の灯ろう流しでお会いしましょう。
